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  4. 離婚時に住宅ローンがある場合の財産分与

離婚時に住宅ローンが残っていたら、 財産分与に影響しますか?

A: 離婚時に住宅ローンが残っている場合、ローンの残高と住宅の現状価値の関係によって、取るべき対応が分かれます。


離婚の際に、自宅など夫婦の共有財産である不動産の住宅ローンが残っている場合、その不動産が財産分与においてどのような扱いになるのかは、ある条件によって大きく2つに分けられます。

その条件とは、その不動産の価値が住宅ローンの残高を上回るか下回るか、ということです。不動産の価値というのは、その不動産を購入した時の価格ではなく、今現在の価格です。つまり、仮に今その不動産を売却したらいくらの値段がつくか、ということです。

この不動産の価値が住宅ローンの残高を上回る(アンダーローンと呼ばれる)場合は、ローン残高分を差し引いてもまだプラスの財産としての価値が残りますので、財産分与の対象となります。この場合は、ローン残高分を差引いた残りの金額分を夫婦で分け合うことになります。

逆に、不動産の価値が住宅ローンの残高を下回る(オーバーローンと呼ばれる)場合は、ローン残高分を差し引くともう住宅の価値が残らないばかりでなく、その不動産を売却してローン返済に当ててもまだローンが残ってしまう、ということになります。

この場合は、その不動産自体が債務超過のマイナスの財産ということになり、財産分与の対象外になります。つまり、その不動産を売却したと仮定してなお残ったローンの金額については、夫婦で分けて負担する必要はない、ということです。

このように、住宅ローンが残っている場合の財産分与は、不動産の価値とローン残高の関係性によって対応が分かれます。ですから、まずは不動産会社に不動産の価値を査定してもらうことと、現在住宅ローンがいくら残っているのかを確認することから始めましょう。

不動産がプラスの財産となる場合の財産分与のしかた

上記で、不動産の価値が住宅ローンの残高を上回る場合(つまり不動産がプラスの財産になる場合)は、財産分与の対象になるとご説明しました。ではプラスの財産になる不動産を財産分与するには、どのような方法があるのか、ケース別に簡単にご紹介します。

不動産を売却する場合
離婚後、夫婦のどちらとももうその家に住まない(その不動産を所有しない)という場合は、その不動産を売却するのが最も簡単な財産分与の方法です。

不動産を売却したお金で残っている住宅ローンを完済した後、手元に残った売却益を夫婦で折半します。

どちら一方が住み続ける場合

離婚後、夫婦のどちらかが現在の家を出て、もう一方はそのままその家に住み続ける(その不動産を引き続き所有する)という場合は、家を査定してもらい計算上の売却益を算出し、家に住み続ける側が家を出ていく側に、算出した売却益の半分の金額を渡します。

ただこの場合、実際には家を売却していないので、財産分与として折半する売却益分のお金は別のところから用意しなくてはなりません。

相続などで得た固有財産などからすぐに用意できる場合は問題ありませんが、そうでない場合は、売却益の半分金額に相当するように不動産以外の財産分与の額を調整するか、不動産の財産分与額については分割で対応するなどの方法をとる必要があります。


不動産がマイナスの財産になる(債務超過が発生する)場合の対応


つづいて、不動産の価値が住宅ローンの残高を下回り債務超過が発生する場合、住宅ローンの支払いなどはどうなるのか。

この場合で重要になってくるのが、誰が住宅ローン契約の名義人(主債務者)になっているか、という点です。

債務超過になる負債に関しては財産分与の対象にならず、超過分の支払いは基本的に債務契約の名義人(主債務者)が義務を負うことになるからです。それを踏まえて、どのように処理する方法があるのか、みてみましょう。

不動産を売却する場合

不動産を売却し、そのお金でまずは払える分だけのローンを払うという方法があります。

ただし、オーバーローンの不動産の場合、借り入れている金融機関の同意が必要となります(任意売却)
金融機関としては、任意売却しても全額回収できるわけではないので、売却に応じないケースもあります。

任意売却した後に残ったローンについては、ローン名義人が引き続き支払っていかなければなりません。


どちら一方が住み続ける場合

ローンの名義人となっている方がそのまま家に住み続ける場合は、その人が今後もローンの返済を続けることになるでしょう。

ローンの名義人ではない方が家に残る場合は、ローンを相手に支払ってもらいながら住み続けるか、自分でローンを引き受けるか、大きく2つの選択肢があります。

ローンを相手に支払ってもらいながら住み続ける場合は、その見返りに養育費を減額するなどして調整することが多いです。

ですが、万が一相手の支払が滞った場合、もう一方が連帯保証人になっていれば支払いが一気にのしかかることや、突然家が競売に出されて立ち退きを要求されるというリスクもあります。


一方、ローン名義人ではない方がローンを引き受けて支払っていく場合には、ローンの名義人を変更することが望ましいでしょう。

しかし、ローンの名義人の変更は、「ローン名義人と同水準の収入」や「ローンを組んでいる銀行の承諾」など様々な高いハードルを越えなければ、変更ができません。

そこでローンの名義人の変更が出来なかった場合に、よく利用されるのがローンの借り換えです。

ローンの借り換えとは、別の金融機関でローンを組みなおすことです。
名義人を変えてお金を借り入れ、元のローンを完済することで、実質上の「名義変え」をします。

ただし、ローンの借り換えには収入の条件や保証人が必要になるなどハードルも高いので注意が必要です。


名義人がこれ以上ローンを支払えない場合

家を売却するしないに関わらず、またどちらが住み続けるかに関わらず、住宅ローンの支払い義務はローンの名義人にあります。

その名義人がこれ以上ローンを支払うことができないとなった場合、名義人には自己破産という選択肢があります。

自己破産すればそれ以上ローンの返済をしなくてもすみますが、その場合、ローンの連帯保証人に返済義務がまるごと移転します。


連帯保証人には配偶者がなっているケースも少なくないため、慎重に判断しなければなりません。


住宅ローンと財産分与の問題は複雑

これまでご説明した通り、住宅ローンが残っている場合の財産分与というのは、確認しなければならない点が多く、不動産(自宅)をどうしたいのか、誰が所有するのかなどの希望によっても、取るべき対応や手続きが分かれます。

さらにはローンの名義、不動産の登記名義の問題もあります。名義変更することによって解決できる場合もありますが、場合によっては名義変更ができない事もあるなど、個々のケースごとに適切な対応が異なってきます。
離婚時の財産分与では当然住宅ローン以外の財産についても考えなければいけませんから、夫婦お二人だけで悩むより、財産分与に詳しい弁護士に相談してみることをおすすめします。