配偶者のDVから被害者を守る法律、DV防止法について

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DV防止法とはどのような法律ですか?

A: DV防止法とは、ドメスティックバイオレンス(DV)被害の防止と被害からの保護を目的とした法律です。

家族からの暴力や恋人からの暴力。

DV(ドメスティックバイオレンス)は、表面化しにくい問題だと言われています。
社会問題ともなっているDVを防止・抑止するために、日本では「DV防止法」が2001年10月13日に施行され、現在までに幾度かの改正法が施行されています。
DV防止法は、ドメスティックバイオレンス(DV)被害の防止と被害からの保護を目的とした法律です。

DV被害を受けている人が、被害を受けていることに気づき、保護をもとめること。
簡単そうに思えるこの一歩のために、DV防止法をよく知っておく必要があるでしょう。

※ DVの種類についての詳細はどんな行為がDVに該当しますか?のページで詳しく解説しています。


■DV防止法とは

DV防止法とは、DV対策と被害者の保護のために作られた法律です。

「DV防止法」と省略していますが、正式名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」です。
「配偶者暴力防止法」とも呼ばれます。

DV防止法の内容は?

DV防止法は、配偶者からの暴力を防止するためのものです。そして、国や地方自治体が被害者の自立を支援することを含め、その適切な保護を図る責務を求めるものです。

DV防止法は、次のような項目が盛り込まれています。

  • 相談   =DV被害相談・支援をする施設の設置
  • 一時保護 =DV被害者の一時保護
  • 自立支援 =DV被害者の自立支援
  • 通報   =医師などを対象に、DV被害者を発見したらしかるべき機関へ通報するよう勧告
  • 保護命令 =配偶者が被害者に近づかないよう命令

特に、DV防止法で重要なのは、「保護命令」だと言えます。

■DV防止法の「保護命令」とは

DV防止法の要である保護命令には種類があり、DV加害者が保護命令に違反した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。
※2025年5月31日までは「懲役」、2025年6月からは刑法などの改正に伴い「拘禁刑」となります。
DV防止法に定められている保護命令は、下記の6つの命令になります。

  1. 被害者への接近禁止命令
  2. 被害者への電話等の禁止命令
  3. 被害者の子に対する接近禁止命令
  4. 被害者の子への電話等禁止命令
  5. 被害者の親族等への接近禁止命令
  6. 退去等命令

上記のうち2~5は、1の発令後に認められるもので、単独で求めることはできません。
これらの保護命令に相手が違反した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられます。


1.被害者への接近禁止令

DV加害者が被害者につきまとったり被害者の付近(自宅や勤務先など)を徘徊したりすることを、1年の間禁止するものです。 接近禁止命令の申し立てができるのは、身体への暴力を受けた人、生命または身体に危害を加えるという脅迫を受けた人、自由や名誉、または財産などに対し損壊・危害などを加えるという脅迫を受けた人などです。


2.被害者への電話等の禁止命令

この命令では、電話だけでなく様々な禁止行為が設定されています。禁止期間は1年間です。

  • 面会の要求
  • 行動や監視を匂わせる言動
  • 著しく乱暴な言動
  • 緊急時を除き、連続して電話をかけたり、FAXやメール、SNSのメッセージなどを送りつける行為
  • 緊急時を除き、午後10時~午前6時までの間に電話をかけたり、FAXやメール、SNSのメッセージなどを送ったりする行為
  • GPSを利用し、位置情報を被害者に無断で取得する行為
  • 汚物や動物の死体、その他不快感・嫌悪感を抱くようなものを送りつける行為
  • 名誉を傷つける、また名誉を傷つけたことを知りうる状況にする行為
  • 卑猥な言動や卑猥な文章・画像、CD・HDなどを送りつけるなどして、性的羞恥心を攻撃する行為

3.被害者の子に対する接近禁止命令

被害者と同居する未成年の子どもへのつきまといや、学校近くの徘徊を1年の間禁止するものです。
ただし、子どもが15歳以上の場合には、子どもの同意がある場合に限られます。


4.被害者の子への電話等禁止命令

DV加害者が被害者の子どもに対し電話をかけたり、メール・SNSを送付したり、GPSによって位置情報を取得したりすることを、1年の間禁止するものです。


5.被害者の親族等への接近禁止命令

親族など、被害者の身近な人物へのつきまといや、家へ押しかける行為を1年の間禁止するものです。ただし、親族の同意がある場合に限られます。


6.退去等命令

DV被害者が所有する住居、または被害者名義で借りている住居から退去、また付近の徘徊を2ヶ月の間禁止するものです。ただし、住居の所有者または賃貸契約者が被害者のみの場合、申立てによって6ヶ月間にわたり禁止できます。


DV防止法の保護対象は配偶者間だけ?

DV防止法の保護対象になるのは、基本的に配偶者間です。離婚した後も、元配偶者によりDVを受けている場合も対象です。

また、婚姻の届出を出していなくても、「事実婚」「内縁」であることが証明される場合や、同棲している交際相手も保護対象になります。

DV(ドメスティックバイオレンス )という言葉が指す、「家庭内暴力」には当てはまらない相手からの、暴力や脅し、嫌がらせは、民法、児童虐待防止法やストーカー規制法など、それぞれに応じた保護・法律が取られることになります。
お困りであれば、お近くの警察や相談機関に話してみましょう。


■令和元年のDV防止法改正で何が変わった?

DV防止法はたびたび改正がなされています。令和元(2019)年に続き、令和6(2024)年4月にも改正がなされましたが、何が変わったのでしょうか?それぞれの改正内容について見ていきましょう。

【令和元年改正】
配偶者間のDVが児童虐待とも密接に関連しているとして、相互に協力するべき機関に児童相談所を明記しました。
また、これまでは保護対象が被害者のみであったのが、子どもなどの同伴家族も保護の適用対象として含まれることが明確にされました。


【令和6年の改正】
「保護命令制度」が更新され、新たに下記の内容となりました。
■発令対象の拡大
接近禁止命令等の申し立てができる被害者として、「自由、名誉、財産に対する脅迫を受けた者」が追加されました。また命令の発令ができる要件として、「心身に重大な危害(※注)を受ける恐れが大きい時」まで拡大されました。
※注:「心」(精神)への重大な危害としてうつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、適応障害、身体化障害などが挙げられています。
■「被害者の子への電話等禁止命令」の新設
■「電話等禁止命令の対象行為」の拡大
従来の電話・FAX・メールに加えSNSなどの送信、性的羞恥心を害する電磁的記録の送信、GPSによる位置情報の無承諾取得などが追加されました。
■発令機関の伸長
接近禁止命令等の発令期間が、従来の6ヶ月間から1年間に伸ばされました。
■厳罰化
保護命令に違反した場合の刑罰が、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」から、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に、それぞれ引き上げられました。
※「懲役」は2025年5月31日までであり、2025年6月以降は「拘禁刑」となります。


■まとめ

令和元年(2019年)度、配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDVに関する相談件数の総数は、119,276件と、過去最多を記録しています。

下記内閣府のサイトを参照していただいてもわかるように、DVの相談件数は年々増加の一途を辿っています。

誰かにDV被害を打ち明けるのは、とても勇気のいることでしょう。 ですが、相談することで、今の苦しい状況からご自身や大切なお子さんを救い出すためのきっかけになります。
今、DV被害に苦しんでいる方は、助けを求めるという選択肢をどうか検討してみてください。



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