盗撮の被害に遭ってしまったら、相手を罰するだけでなく精神的苦痛への慰謝料を請求したいと思うのは自然なことです。
盗撮被害に対する一般的な相場は10万円~50万円程度といわれています。
ただし、慰謝料を請求する手続きや、盗撮行為の悪質性によっては、相場よりも高い金額を求めることができる場合があります。
今回は、
について、解説していきます。
盗撮とは、公衆の場や、便所・更衣室など通常衣服の一部または全部をつけないような場所において、衣服で隠されている下着や身体を撮影、もしくは撮影のために機器を設置することをいいます。
盗撮の具体的な被害としては、
といった行為が、盗撮行為にあたります。
ただし、盗撮には「盗撮罪」というような罪名はありません。それぞれのケースに照らし合わせた罪名が適用されることになります。
盗撮行為そのものに対しては、各都道府県の「迷惑行為防止条例」が適用されることがほとんどです。
その他にも、
などの罪名に問われることになります。
慰謝料の請求には、大きく2つの流れがあります。
刑事事件で示談をするケースと、民事事件として相手を訴えるケースです。
加害者が起訴処分を回避するために、被害者に示談を持ちかけてくるのがこのケースです。
いわば、「お金を支払うので、被害届を取り下げてください」というもので、この段階で示談が成立すれば、被害届の取り下げは叶わなくとも裁判で情状酌量されることも多いため、大抵の加害者は示談を持ちかけます。
示談金には、慰謝料と実費が含まれることが大半です。
実費とは、たとえば盗撮被害によるストレスで体調を崩したことによる通院費や、引越しにかかった費用などです。
示談は、
という点からも、慰謝料は相場よりも高く請求できる可能性があります。
慰謝料を請求するなら、示談で話し合う方が優位に立つことができるでしょう。
民事裁判を起こして慰謝料を請求するという流れもあります。
民事裁判で請求する要因として、
といったケースが考えられます。
示談に応じずに民事裁判を直接起こす理由には、お金をもらうことよりも処罰感情が勝っていることが挙げられます。
日本の刑事裁判では、示談の成立の有無が、判決を左右することがよくあります。
示談が成立していれば情状酌量の余地を認められるのと逆に、示談をつっぱねることで、相手の刑罰が重くなることもあるのです。
先述したように、盗撮被害の慰謝料(示談金)の一般的な相場は10万円~50万円とされていますが、場合によってはこれよりも高額な慰謝料になる可能性もあります。
盗撮の慰謝料(示談金)が高額になる可能性が高いケース
このようなケースでは、慰謝料(示談金)が100万円を超えることもあります。
上記は、あくまで「盗撮行為」だけを対象とした慰謝料(示談金)でしたが、これに加え、別の違法行為があった場合にも、慰謝料が高くなる傾向にあります。
たとえば、住居侵入罪や建造物侵入罪、器物損壊罪などがあたります。罪が増えることで「より悪質」と判断される可能性があります。
被害者が加害者に対して慰謝料を請求するには時効があるので、要注意です。
時効は、「被害を受けてから」もしくは「加害者を知ってから」3年です。これを超えると、慰謝料は請求できなくなります。
いかがだったでしょうか?
盗撮被害の慰謝料は、請求方法やケースによって金額が高低することを知っていただけたかと思います。
慰謝料とは、いわば、その行為に対してこうむった精神的苦痛への賠償金です。 精神的苦痛が大きいと認められるほど、慰謝料は高くなる傾向にあります。
盗撮被害で通院した場合にはその記録を、引越しを余儀なくされた場合には引越しの理由を周知しておくなど、「その盗撮が原因でこんな大変なことになった」という証拠をきちんと残しておくと、請求の場でより有利になるでしょう。