探偵事件簿
(注)※事例については依頼者と相談して、固有名詞や場所等については事実とは異なる修正を加えております。
調査事例ファイル1、夫の浮気調査
依頼者:20代後半、女性、主婦
調査の目的:夫の浮気現場の証拠写真の撮影、及び浮気相手の自宅住所調査。
依頼者の池田和子さん(仮名)は結婚5年目、ここしばらく夫の様子がおかしく、以前にはあまりなかった出張が多くなり夜の帰りも遅くなっている、夫が風呂に入ってる隙に携帯を見ると、見知らぬ女からのメッセージが入っていたとの事。
典型的な浮気発覚のケースである。
早速、きまって帰りが遅いという週末にあたりをつけて調査を行う。
夫は、市内の某ビルのソフトウェア会社で働いているが、ビルの出入り口が2箇所、退社時刻の人の出入りはかなり多く、近くには駅とバス停、タクシー乗り場があり、なかなか行動パターンが絞りにくい。
張り込みは2名にて行う、エレベーターが見える出入り口付近での張り込みである。予め、対象者の身の回り(ネクタイ、靴、背広、カバン)は撮影しておいたので対象者を見逃すことはない。
午後6時14分、対象者が出てきた。
対象者は 歩きながら携帯でメールのやり取り、浮気相手だろうか?
その間、対象者は徒歩で移動、会社から500m程離れた某シテイーホテルに到着、ホテルのロビーで誰かを待っている様子である。
10分後に、浮気相手と思われる20代前半の女性が対象者の元へ小走りで近つ゛いて来た。女性は、茶髪のショートカット、赤い派手めのチェックの服に、黒のパンツルック、ブランド物のバッグを身につけ、顔は細長の美形である。親しく話してるところを見ると、対象者との付き合いは長いのかもしれない。
談笑している様子を 近距離からスパイカメラに収める。
その後、対象者と女性はホテルのエレベーターで上の階にあるレストランへ移動。我々も対象者の近くの席を確保する事ができたので、対象者と女性の会話をなんとか聞き取る事ができる。
対象者と女性の会話の中身は、妻との夫婦生活がうまくいってない事、妻とは早い段階で離婚する事、別れた後は海外で挙式を挙げたい等。。。本気かどうかはともかくとして、奥さんが聞いてたらとても耐えられない内容である。(その様子は偽装したビデオカメラでも録画)
対象者は50分後に席を立つとエレベーターで1階まで降り、駅の反対側にある繁華街へ女性と一緒に移動、その間も対象者は全く警戒した気配もなく、すんなりと繁華街の一角にあるホテルへ入っていった。(対象者が ホテルへ入る様子をビデオカメラで撮影)。
数時間後、すっきりした顔でホテルから出てくる所の対象者のツーショット写真を撮影した後、帰宅する女性を尾行して、自宅を割り出した。
その後の調査により、浮気相手の女性が対象者の取引先の会社の社員である事が判明。
後日、事務所に来た奥さんは、報告書を読み終わると 「こんな事になったからには覚悟はできてます」と一言。
夫は今後、自分のやった行為に対しての責任を負わなければいけないだろう。
調査事例ファイル2、暴行犯の所在調査及び証拠収集
依頼者:30台前半、医師 男性
調査の目的:依頼者に集団暴行を働いた3人組の所在調査と裁判証拠収集
通常、刑事事件を調査するのは警察の仕事であるが、取り込み詐欺や器物破損等、警察が本腰を入れて調査をしてくれないような事件が探偵にまわって来ることは意外に多い、今ケースの依頼者も、警察の調査の進展の遅さに業を煮やして探偵事務所のドアをたたいた。
12月某日、依頼者の山本(仮名)は、いつものように勤務先の病院から帰宅していた。通勤にはオープンカーをアシに使っており、真冬でもヒーターを全開にすると、オープンでもそれほど寒さを感じないらしい、その日も幌は上げたままであった。
農道沿いの国道を走っているとき、真後ろのワゴン車がパッシングしながら山本の横に並ぶと、ワゴン車の窓から浅黒い顔が出てきた。
男は笑いながら山本を一瞥すると、また窓を閉めた。
真冬に幌を上げて走ってる山本に嫌がらせをしたらしい。
頭にきた山本は、ワゴン車の後ろへつくとホーンを鳴らしてやった、すると驚いた事に、ワゴン車は、一旦、山本の横前方に出た後、ブレーキを使いながら、強引な幅寄せをしてきた。
追突こそしなかったが、非常に危険な行為を行った車からは、土木作業員風の20代くらいの男が3人、ぞろぞろと降りてきた。
「危ないやろ!!」
山本は降りてきた男を睨みつける。
が、3人のうち、口ひげの男が、いきなり山本のむなぐらを掴むと車からひきずり降ろした。
一発、二発、顔面に拳が飛んだ、立ち上がろうとする山本に今度は後ろから蹴りが飛んできた。あとは3人がかりである。
山本は袋叩きにあった上、愛車の鍵も持ち去られ、真冬の路上でなすすべもなく、さんざんな思いをしたらしい。依頼者は くやしそうな表情を浮かべながら、当時の状況を語った。
幸いな事に依頼者は暴行犯の車の車種や色、だいたいの車のナンバーを覚えていた。ナンバーの情報は完全ではなかったが、これで、ある程度犯人の車を絞る事ができるので、調査としては、非常に楽な展開となった。
結局、大体のナンバー、車種や色から暴行犯のものと思われる車を3台まで絞る事ができた。車には特徴があったので、3台全部の車の写真を撮影、依頼者に見せる事で最終的に1台に絞ることができた。車の持ち主は堀田信二(仮名)である。
車両が特定できれば、あとは、犯人の顔の確認と証拠固めである。
まずは対象者の家の玄関のドアが写るように固定のカメラを一台しかけ連続録画できるようにセッテイング、早朝の尾行で、暴行犯の勤務状況を調査した。
その結果、暴行犯の父親が自宅で土建屋を営み、実家で暮らす息子も父親と一緒に現場で働いていた、車の所有者堀田信二は犯人の父親で、息子の名前は俊夫(仮名)と判明。
従業員は、他にも2名いるようだが、日雇いに近い不定期の勤務のようである。
この段階で、家族の詳細な情報を入手、姉も含めて4人暮らしである事をつきとめた。
撮影した写真を依頼者に見せる。
「まちがいない こいつや!!」
写真に写っているのは依頼者を一番最初に殴った口ひげの男である。その後も、尾行・張り込みを行ったが、結局,山本を殴った残りの2人が堀田と行動を共にする姿を確認することはできなかった。
依頼者の意向としては、殴った男に目の前で謝って欲しい、他の2人の行方も知りたい、犯罪を立証する証拠が欲しいとの事。
犯人と直接接触するのはあまり好ましい事ではないのだが、依頼者の強い意向もあったので、依頼者の友人を装って、堀田の家へ向かった。
堀田の父親に事情を説明、まずは本人の自供を証拠として引き出したかったので、「息子さんが謝罪さえしてくれれば、山本も納得すると思うんですが」とできるだけ穏やかに責めていき、本人との話し合いの承諾を得た。
待ち合わせの場所へやってきた堀田は、開口一番「おまえが煽ってきたからやろう!」等、反省のない言葉を吐き始めたたが、調査員の説得もあり、最終的には、おとなしく謝罪文を書き、拇印を押してくれた。
また、話し合いの中では、「いつ、どこで、誰が、なにをやったか」等を堀田に詳しく自供させ、証拠は後日、依頼者が警察に引き渡した。
しかし、残念な事に残りの二人の犯人はすでに堀田の仕事場を辞めており、所在を聞き出す事はできず、残りの犯人の調査を継続する事となった。
残りの犯人のうち1人は、堀田から聞き出した情報から、住所・氏名を調べあげる事に成功したが、手掛かりのない最後の一人の居所がわからず、調査が行き詰まってしまった。
最後の一人に関しては、有力な情報がなく、対象者を識別する写真も何もない状態なので非常に辛いところである。
ここで調査の進展を図る為、急遽、堀田と同じ現場で働いていた50代のおじさんを協力者として確保する事にした。おじさんも犯行時、堀田と同じ車に乗っていた為、最初は調査に非協力的な態度を取っていたが、調査員が再三にわたって口説き落とし、このおじさんを急遽、臨時調査員として雇い入れる事にした。
おじさんの証言によると、最後の犯人の名前は石井武雄(仮名)、21歳、堀田を調査する1週間前までは現場で働いていたが、些細な事でトラブルを起こしてから職場に来なくなったらしい、無類のパチンコ好きで西成区内のアパートで一人暮らしとの事、大体の住所までは絞り込んでいた為、近所のパチンコ屋で見回りを開始、2日後に区内のパチンコ店で石井を発見した。
すぐに パチンコ店に車両群をスタンバイさせ、帰宅する対象者を尾行して現住所の割り出しに成功、調査結果を依頼者へ報告して調査を終了した。
この件に関しては、後日、依頼者から電話連絡があり、調査結果を元に集団暴行犯の3人は、全員逮捕されたとの報告を得た。
依頼者も、3人の逮捕には納得した様子で、「以前は仕事をしててもあいつらの事を考えてたら、仕事が手につかなかったんですが、今は毎日、穏やかな気持ちで過ごせます」と声のトーンも明るく語っており、事件が解決して本当に良かったと思う。
また、「刑事さんが優秀な探偵さんですねって言ってましたよ」と言われてしまった。
これくらいの事で優秀と言われてしまうようでは困るのだが。