探偵は、弁護士や医師などのように国家資格があるわけではありません。探偵の能力を示すための民間資格はあるのですが、それがないと探偵になれない、というわけではありません。
基本的に「大卒以上」などの学歴による縛りや、「男でないといけない」というような性差による優劣もありません。
ですから、ほとんど、どんな人でも、探偵になることができると言ってよいでしょう。
探偵になる方法としては、
の2つの道があり、いずれもそれ自体には、特別な資格や経歴は必要ありません。
既存の探偵事務所に就職するためには、ハローワーク(公共職業安定所)や就職・転職サイトなどを利用し、求人情報を探しましょう。
もし、希望する探偵事務所の目星がついているのなら、その探偵の公式ホームページを確認すると、求人情報が掲載されていることもあります。 募集資格についても、その際によく確認しましょう。
求人情報がなくとも、その会社の探偵になりたいという熱意にあふれているのなら、直接問い合わせてみてもよいのではないでしょうか。
こうした行動は広い視点で見ても、マイナスとなることではないでしょう。
フリーランスとして探偵をやっている人もいます。
そこで、いきなり開業するという方法も、探偵になる方法と言えます。
実はいきなり探偵事務所を開業することは可能なのです。
ただし、開業するには、「探偵業届出証明書」が必要です。
これは資格ではありません。
これを手に入れるのは簡単で、公安委員会(警察)に探偵業開始届出書と身分書類等を添付して提出し、手数料を支払うだけです。
なぜ届出が必要なのか、詳細は後述します。
とはいえ、未経験のままいきなり探偵として独立開業したとしても、うまく宣伝をしなければお客様は来ません。
下請けのようなことをするにしても、ツテもなければ仕事も来ませんし、実力も磨かれた技もない個人探偵に仕事を任せることがあるかどうかは賭けでしょう。
未経験でいきなり独立するよりも、探偵学校で学んでから、もしくは既存の探偵事務所などに勤めてノウハウを学んでから、独立するケースのほうが多いようです。
探偵として働く者には、守らなければならない法律があります。
それは「探偵業の業務の適正化に関する法律」(通称「探偵業法」)です。
探偵業法によって、探偵業を営もうとする者は、各都道府県の公安委員会に営業の届出を行うことが義務付けられています。
(暴力団関係者は開業できません。また、破産者、前科がある方なども制限があります。)
先述の通り、探偵業開始届出書類を提出し、届出が受理されると、届出番号の付いた《探偵業届出証明書》が交付されます。
資格ではないですがこの証明書を持っていることが、探偵業を営むための第一条件となります。
万が一、公安委員会からの認可を受けずに勝手に探偵業を営んだ場合、違法営業として行政処分を受けることになります。
上記に関しては、探偵事務所を開く経営者としての義務です。
就職しようと考えている会社に、《探偵業届出証明書》が掲示されていない場合は、尋ねてみましょう。
探偵事務所の一職員、つまり探偵として働く全ての者についても、探偵業法にてさまざまな義務や禁止行為が定められています。
例えば
探偵として働く全ての者は、この探偵業法に則り活動する必要があるのです。
もし、憧れの探偵になれたときには、「お客様の依頼の中身はこうで、こんな事情で…」などと誰かに話したくなるかもしれませんが、それはNGです。
探偵が守るべき、秘密保持の義務に反しているからです。当探偵事務所の秘密保持の義務についての取り組みや、守秘義務を守らなかった場合の探偵の罰則などについては、下記の記事を参考にしてください。
特別な資格を持っていなくても探偵になることはできますが、実務上持っておくべき技能や知識というものがあります。
また取得しておくと、探偵になるのに有利になる資格や技能もあるので紹介します。
探偵が取り扱っている調査の内容については
をご確認ください。
探偵の調査では、尾行や張り込みに車を使うことがよくあります。
そのため、運転免許証だけでなく、ある程度運転技術も必要です。
全ての探偵事務所がそうというわけではありませんが、求人募集の応募条件に「要普通自動車免許」と記載しているところも多いです。
そのためペーパードライバーではなく、人並みには自動車の運転ができる必要があります。
また、バイクなどが運転できる普通二輪の免許も持っていると、小回りのきく調査ができるため役立てることができるでしょう。
探偵の調査ではほとんどのケースで、写真や動画などの撮影を行います。
例えば、浮気調査で対象者と浮気相手の密会の証拠を撮影したり、素行調査で対象者の行動を動画に収める、ということもあるでしょう。
そのため、カメラやビデオカメラなどの撮影機材を扱えることは重要なスキルです。
過去に撮影関係の仕事をしていた、一眼レフカメラで撮影するのが趣味だ、などという方はその技術を探偵の仕事に活かせるはずです。
面談の際にポートレートを持ち込んだり、写真技能士の資格を持っていたり、Photoshopクリエイター能力認定試験を受けたことのある方は、その事実を積極的にアピールしましょう。
スマートフォンでしか写真を撮ったことはない、という方でも、あらかじめカメラの取り扱いを学ぶところから始めてみましょう。探偵になる必須技能だと思い、興味を持って取り組んでみてください。
探偵や刑事が対象者を尾行したり張り込みを行う様子は、イメージはしやすいかもしれません。
しかし実際の尾行や張り込みはとても難しく、やろうと思えば誰でも簡単にできるというものではありません。体力も知識も必要です。
探偵として活動するには、この尾行や張り込みについて基礎から学ぶ必要があります。
探偵事務所に所属した後、その会社で学ぶこともできますし、あらかじめ探偵学校や探偵講座などで学んでも良いでしょう。
尾行や張り込みといった作業には、体を動かす要素に加え、時間が不規則であったり案件によっては長時間に渡ることもあるため、体力が不可欠です。そのため、体力があることもアピールポイントの1つになります。
過去の職歴や持っている運動系の資格(あれば)、また学校で所属していた部活の実績を自己申告しましょう。
探偵の仕事は調査をするだけでなく、調査の結果を報告書にまとめ依頼者に提出するところまで含まれます。
報告書の作成はパソコンを使って行いますので、パソコンのスキルも必要です。写真や動画の加工・編集スキル等があればなお良いでしょう。
といっても、エンジニアやウェブデザイナーなどの専門職のような高度なスキルは必要ありません。
一般的な入力作業などができる程度の、最低限のパソコンスキルがあれば問題ないでしょう。
ですが、最終的には誤字脱字・変換ミスなどがないように、そして公的な機関に提出されたときに恥ずかしくないような報告書を作成する必要があります。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)やITパスポートといった資格を持っていれば、パソコンスキルの実力を証明できるでしょう。
探偵業には公的資格はありませんが、民間が実施している資格試験があります。
一般社団法人日本調査業協会が主催する「探偵業務認定試験」がそれに当たります。
これは探偵業務を行う上で必要な法令や、調査技術などについて問われる試験です。資格認定を受けることで、一定の知識や技術を保持していることを証明することができます。
ですが、こうした資格認定がなくても探偵になることができます。
実際のところ、資格認定を持たない調査員が大半といってもいいでしょう。
その背景には、資格自体が浸透していないことが挙げられます。
また、それぞれ事務所によってノウハウも違うため、入社すればいちから学ぶことになるため、探偵事務所側も重視しません。
ですが、探偵として開業する際や、探偵としての力量をはかる物差しとして、受験して資格を得ることは、探偵としてのキャリアにプラスになるでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、探偵は仕事上、法律知識が不可欠な業種です。
探偵は警察や弁護士などとは違い、捜査権など特別な権限は与えられていません。そのため、調査の際には法律で許される範囲内で行動しなければならず、関連する法律を把握しておく必要があります。
また、探偵への依頼内容には、浮気や離婚問題、ストーカー、盗聴・盗撮など、あらゆる民事・刑事問題が絡んでいることが大半です。依頼者の相談に的確に応えるためにも、そうしたジャンルに関する法律の理解があることはとても大切です。
探偵のなかには、実際に弁護士資格や行政書士資格を持っている上で、探偵として開業している人もいます。
これらの技能や知識に関しては、自分で勉強することも出来ますし、独学では限りがありますので、全国にある探偵学校へ通い、探偵になる前に技術を身につける人もいます。
また、探偵として就職したあとに、経験を積みながら身につけていくこともできますので、今現在、これらの技能や知識を備えていなくても、とりあえず「探偵にはこんな技能や知識が必要なんだ」という事を理解しておきましょう。
探偵になるだけであれば、特別な資格は必要ありません。
しかし、探偵として実務を行い、実力を伸ばし続けるためには、前述したようなスキルや技能、知識は身につけていかなければいけません。
これらについて、最初はだれでも未経験者で、初心者です。
ですので、探偵になって、活躍していきたいという展望があるなら、いきなり開業するよりは、人材育成についてノウハウがある探偵事務所への就職がおすすめです。
という探偵事務所は、探偵として必要な技術や知識を学ばせてくれる可能性が高いので、チェックしておきましょう。
ただし、注意点もあります。
というような事務所もあります。必ずしもそういう業者がよくないというわけではありませんが、探偵業務よりも学校運営や研修費を収入の母体にしているような業者もないわけではありません。
色々な業者のHPを確認し、自分が納得できる条件の会社を探してみましょう。
探偵事務所は、それなりに大きな事務所であれば、寮を完備しているところも少なくありません。福利厚生や給与などの就労条件についても確認してみてくださいね。
学歴や性差、資格のあるなしによって、探偵になるための道が閉ざされる、というようなことはありません。
また、女性の探偵志望者も、女性というだけで拒まれることは少ないでしょう。
男性では行きにくい場所にも、女性探偵なら行ける、ということもあります。臆せずに探偵の門を叩いてみてはいかがでしょうか。
また、未経験者よりも経験者が優遇されることはあるかもしれませんが、探偵は未経験者お断り、という業種ではありません。
新卒でなくても、探偵として転職した人は沢山います。前職での経験や社会経験、そして探偵の仕事に直接関係がなさそうな資格が、探偵の仕事内容に活かされるということも、十分にあります。
ですが、気をつけたいのは年齢です。探偵の仕事には体力的な要素が多いので、どうしても若年者やミドルエイジには厳しいかもしれません。
下記のリンク先記事でも述べていますが、だいたい20代半ば~50代までが探偵の適正年齢といえます。
もちろん、この年齢帯に入っていなくてもチャンスがないわけではありません。果敢にチャレンジしてみてください。
資格などではなく、どんな人が探偵に向いているのか、探偵に必要な資質や性格などについて知りたい方は、下記の記事が参考になります。