デートDVとは、交際している恋人同士の間でおこるDVのことです。
DVには、直接肉体的な暴力を振るうものもあれば、物理的ではない暴力もあります。
ですが、人によってDVだと感じる内容には違いがあり、自分がDVを受けていても気づかない場合もあります。
ここでは、どのような行為がデートDVに該当する行為なのか、よくあるデートDVの被害事例についてご紹介したいと思います。
デートDVには、主に5つの形態があります。
それぞれのデートDVの特徴と、代表的な被害事例をご紹介します。
自分がデートDVを受けていないか、デートDVをしていないか、参考にするためにもぜひ確認してみてください。
殴る蹴るなど、恋人の身体に物理的な暴力を振るう行為です。
肉体的な暴力を振るう人は、恋人を腕力で屈服させ、自分の思う通りにコントロールしようという意識が働いている場合が多いです。
そのため、恋人に対して気に入らないことがあったり、恋人とは関係のない事で不満があった時などにも、恋人に対して暴力を振るいます。
肉体的な暴力とは違い、恋人の身体に直接暴力を振るうのではなく、言葉や態度で恋人の精神にダメージを与える暴力のことです。
例えば、大きな声で怒鳴ったり、ヒステリックに叫ぶなどがデートDVの精神的な暴力に該当します。
言葉の暴力には、恋人を精神的に追い込み行動を縛り付ける効果があります。
そのため、被害者側は自分でも気づかぬうちに、自由な行動や意思決定ができなくなってしまいます。
恋人に対して性的な暴力を加える事例もあります。
例えば、避妊に非協力的で性交渉を拒んでも無理やりやらされる、などが代表的な例です。
性的暴力を振るう側は、恋人同士なのだから問題ない、拒否する方が悪い、と思い込んでいるケースも少なくありません。
また被害者側も、断ったら嫌われるかもしれないという不安から、断固とした拒否ができない場合が多いようです。
経済的暴力とは、相手の経済的な自由を奪う行為です。
デートDVにおける経済的暴力は、本人たちがとくにDVだと気づきにくい部分でもあります。
とくにデート代の支払い負担などについては、人それぞれ価値観が異なるため一概にDVだとはいい切れないところでもあります。
ですが、どちら一方が嫌だと思っている事を強要しているのだとしたら、それは立派なDVです。
社会的暴力は、プライバシーの侵害をしたり、相手を社会的に孤立させたりする行為のことを言います。
デートDVにおける社会的暴力は、恋人を束縛したい、他の人に取られたくない、という心理が働いている場合も多いです。
その場合、DVをしている本人は、愛情表現の一環だと思っていることが多いので、自分ではなかなかDVだと気づけないのです。
また、肉体的暴力や精神的暴力と同様に、恋人を支配下に置きたいがための行動である場合もあります。
ここでご紹介した5つのデートDVの形態で該当する被害を経験したことがある方は、恋人と今後どのように接したらいいのか悩んでいらっしゃると思います。
また、デートDVを受けた経験がない方も、今後恋人から暴力を受けないとは完全には言い切れません。
万が一に備えて、デートDVの対処方法を知っておく必要があると思います。
デートDVの加害者と別れるというのが一番はじめに思い浮かぶ対処方法ですが、デートDVの加害者と別れる場合、別れ方に注意が必要です。
肉体的・精神的な暴力を振るう加害者に対して別れ話を切り出すと、暴力がエスカレートしたり、別れ方を間違うと恋人がストーカー化する可能性もあります。デートDV加害者と別れる場合は、一旦距離を取るなどして、恋人が自分に向ける興味をなくすように持っていくなど、徐々に離れていくのが安全な別れ方になると思います。
デートDV加害者との間に第三者を挟むことで、冷静に話合いをする機会を設けることができるケースもあります。
ただし、友人や知人に仲裁役になってもらった場合、デートDV加害者があらぬ思い込みをする可能性があります。
そうなると、トラブルがより複雑になる可能性もあるため、注意が必要です。
冷静に話し合えるタイミングや、仲裁役の人選をよく見極める必要があります。
デートDVに関する被害について公共や民間の相談窓口を利用して、対処方法のアドバイスをしてもらうこともできます。
また、恋人がストーカー化してしまった場合、一時的に非難する場所としてシェルターなどの案内をしている団体もあります。
DVに当たるのかがわからない、まずは自分で対処をしたいなど、事を大きくしたくないと考えている方は、電話やオンラインの相談窓口を利用するという手もあります。
DV相談ナビダイヤル「#8008」をはじめ、デートDV110番など、電話やLINEを使って相談できる窓口が設置されています。ぜひ利用してみてください。
身の危険を感じるような暴力行為に発展している場合などは、警察や弁護士など専門家に相談しましょう。
警察は証拠がないと動いてくれないことが多いため、暴力を振るわれたときの怪我の写真や診断書、音声録音、周囲の証言などを集めておきましょう。
弁護士に相談すると、弁護士が代わりに相手に連絡を取って、法に則った警告等を出してくれます。
相手が警告を無視する場合には、法的措置を取ってくれるでしょう。
デートDVは一度こじれると個人では解決しにくいため、専門家に頼ることも考えた方がいいでしょう。
最後に、デートDVの被害に遭わないために出来ることをご紹介します。
将来デートDVをされそうで不安な方は、予防のために。
既に今、軽めのデートDVを受けているという方は、深刻化するのを防ぐために、ぜひ覚えておいてください。
ここまでお話ししてきたように、デートDVの加害者は、 その行為をDVではなく愛情表現の一環として認識している場合も多いです。
そのため、恋人には普段から、嫌なことは嫌、とはっきり伝えられるように心がけておきましょう。
恋人が本当にあなたのことを大切に思っているならば、嫌がる事はしないはずです。
また、普段から自分の意思をはっきりと示す事は、支配欲や強い嫉妬によるDVの予防にも効果があります。
意思の強さを示しておくことで、相手に「この人は自分の言いなりにはならないだろうな」と思わせることができます。
交際してすぐの頃は、お互いに気持が盛り上がり、つい距離を詰め過ぎになりがちです。
ですが、恋人同士だからといって距離が近すぎると、お互いにい依存関係になってしまう危険があります。
そうすると、常に相手のことを知っておきたいと思ったり、他の異性との関係に過敏になてしまったり。
次第に、好きという気持ちよりも、不安や不信感の方が大きくなっていきます。
恋人に対する不安や不信感は、デートDVに繋がる可能性が大いにあります。
健全な関係性を保っていくためには、常に程よい距離感を意識し、お互いのプライベートを尊重することが大切です。
恋人からのDVというのは、恥ずかしさや情けないという感情から、なかなか自分からは相談しにくいものです。
だからこそ、普段からふたりの関係をよく知り接点のある、友人や家族などの存在は重要です。
誰かれ構わず紹介する必要はありませんが、交際相手のことは、信頼できる友人や家族にできるだけ紹介しておくことをおすすめします。
とくに、ふたりの共通の友人に知っておいてもらうのは効果的です。
DVという問題が、交際している当人たちだけでなく友人との信頼関係にも影響を及ぼすため、DVの抑止力になります。
万が一DVを受けてしまったとしても、ふたりの関係をよく知る友人が、あなたの悩みに気づいてくれる場合もあります。
デートDVは、誰にでも起こり得る問題です。
被害者になる可能性はもちろん、気付かぬうちに自分が加害者になってしまう可能性もあります。
大切なパートナーと幸せな関係を築いていきたいなら、定期的に、自分たちがデートDVに該当していないか考えてみてください。