結婚している人が配偶者以外の人と肉体関係を持った場合、夫婦の貞操義務に違反した不貞行為に当たり、離婚や慰謝料請求の正当な理由になります。
風俗通いをする男性には、風俗は浮気じゃないという言い分があるかもしれませんが、配偶者以外の人と肉体関係を持った以上、一般的な浮気であろうと風俗通いであろうと関係はありません。
ただし、夫が風俗に通っているからといって、必ず慰謝料請求ができるわけではありません。
夫の風俗通いを理由に慰謝料請求ができるのは、下記のような条件に当てはまる場合です。
さらに、上記のいずれか、あるいは両方の条件に加えて、以下の2点が必要になります。
前述したとおり、風俗の利用といえども、配偶者以外の相手と肉体関係を持った場合は、不貞行為に当たり慰謝料請求が認められます。
しかし、全ての風俗店が性交渉を含むサービスを提供しているわけではありません。
夫が利用した風俗が性交類似行為のみを行なう店だった場合、不貞行為には該当しないと判断されることも多いです。
夫が性交渉を提供している店を利用していた場合でも、その事を証明できる証拠がない場合は、慰謝料請求は難しくなります。
とくに裁判で離婚や慰謝料を求める場合は、相手の有責事項を自分で立証する必要があるため、証拠の有無は重要になります。
また、夫の風俗通いが原因で、夫婦がセックスレスになったり、夫婦仲が悪化したり、家計に影響が出ている、というような場合は、民法で定められている「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして、離婚や慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
しかし、夫が風俗通いをする前から夫婦仲が破綻していた場合や、妻のセックス拒否による欲求不満を解消するために夫が風俗に通っていた場合などは、妻からの慰謝料請求は通りにくくなる可能性があります。
夫の風俗通いを理由に慰謝料を請求するためには、夫が風俗に行ったことを証明する必要があります。
主に下記のようなものが、風俗通いの証拠として有力です。
一般的な不貞行為の証拠には、浮気相手との肉体関係を証明する証拠として、夫と浮気相手がラブホテルなどに出入りしている写真などが必要になりますが、風俗の場合は、性交渉を提供する店を利用したことがわかるものであれば、すなわち不貞行為があったという証拠になり得ます。
ただし、風俗店のカードなどは、友人から風俗店を紹介されただけという言い訳ができてしまうため、領収書や店の利用状況がわかるスタンプカード、風俗店に出入りする写真、本人の証言など、なるべく多くの証拠を揃えることが重要です。
離婚や慰謝料請求をするための十分な証拠が揃ったら、夫との交渉に入ります。
交渉では、夫に風俗へ行ったことを認めさせ、慰謝料を払うことを約束させることが重要になります。
証拠が不十分な場合、夫が風俗に行ったことを認めないケースも考えられ、そうなると慰謝料を払ってもらうことは難しくなります。
交渉で離婚や慰謝料の話が進まなければ、調停・審判・裁判と段階を踏んで交渉を進めることになります。
この手順は一般的な離婚や慰謝料請求の手続きと同じです。
しかし、裁判となると、夫が風俗に通っていたこと、夫の風俗通いが原因で夫婦関係が悪化したことを立証しなくてはなりませんから、夫婦間の協議によって慰謝料を請求する場合と比べて、難易度は高くなります。
裁判で離婚請求や慰謝料請求を行う場合は、専門家に相談をして裁判に向けた準備を行うことをおすすめします。