探偵との契約をクーリングオフする通知の書き方を教えてください。
A: 書面、またははがきに書く必要事項を紹介します。
また、どんな場合に探偵との調査契約をクーリングオフできるのか、通知書以外にクーリングオフの方法があるのか、なども併せて解説します。
探偵事務所や興信所と調査契約を締結した後、
何か事情があって調査をキャンセルしたいという場合があると思います。
調査をキャンセルする場合は、契約した探偵事務所にキャンセルの意向を伝えることで調査契約の解約手続きを行うことができます。
ただし、調査契約の解約を行う場合、探偵事務所との取り決めで解約手数料を支払うことになります。この解約手数料は探偵事務所の調査契約書や重要事項説明書に解約に関する記載と事前説明が行われているはずなので、探偵事務所や興信所が解約手数料を依頼者に請求するのは違法ではありません。
そのため、解約手数料を支払えば調査を解約することが可能なのですが、解約手数料を支払って契約を解約する方法の他に、
クーリングオフ制度を利用して調査契約を解約する方法もあります。
クーリングオフ制度について耳にしたことがあると思いますが、ここでは探偵事務所や興信所との調査契約をクーリングオフで解約する方法についてご紹介したいと思います。
クーリングオフ制度について
クーリングオフ制度とは、特定商取引法で定められる消費者保護の観点から、業者と消費者間で生じるトラブルに対処するための方法として存在する制度です。
クーリングオフの内容を簡単に解説すると、商品の販売やサービスの提供で契約した取引を、
取引した日から起算して一定期間までなら無条件で解約することができるというものです。
この一定期間とは8日~20日の間で、取引の形態によって期間が違います。
探偵事務所の調査契約をクーリングオフで解約する場合は、
調査契約を締結した日を1日目として、8日間のクーリングオフ期間があります。
ただし、興信所との調査契約のなかでも、クーリングオフが適用される取引と適用外の取引があります。
クーリングオフが適用される探偵事務所や興信所の取引
- 相談員が依頼者の自宅へ訪問して調査契約を締結した取引(依頼者が相談員を呼んで自宅にきてもらった場合を除く)
- 興信所の事務所以外の場所で調査契約を締結した取引
- 重要事項説明がなされなかったりした取引
- 調査契約書に不備があったり、契約内容を書面で交付されていない取引
これらの取引に関して、探偵事務所や興信所との調査契約をクーリングオフで解約することが可能です。
ただし、これらの取引でクーリングオフを申し出ても、探偵事務所がクーリングオフを受け付けない、またはクーリングオフの期間内に手続きを行わないなどの妨害を行う場合があります。
特に「重要事項説明がなされなかったりした取引」では、口頭での説明を「言った/言わなかった」の水掛け論になってクーリングオフまでに時間がかかってしまうケースもあります。
また、「調査契約書に不備があったり、契約内容が書面で交付されていない取引」の場合は、そもそもクーリングオフの起算日が始まらないため、あらためて書面を交付されてから8日間が経過するまではクーリングオフが可能です。
クーリングオフが適用外の探偵事務所や興信所の取引
- 依頼者が自らの意思で興信所の事務所へ訪問して締結した取引
依頼者が
自らの意思で探偵事務所へ訪問することを決め、その事務所で調査契約を締結した取引に関して、クーリングオフの適用外となります。
クーリングオフの適用外では、通常の調査契約のキャンセル扱いとなるため、調査契約であらかじめ取り決められた解約手数料を支払って調査契約の解約を行います。
クーリングオフの仕方
それでは、探偵事務所や興信所との調査契約をクーリングオフする場合、どのような手順で行えばいいのか、クーリングオフの仕方についてご説明します。
クーリングオフは書面またはハガキで行う
調査契約のクーリングオフを行う場合、書面またはハガキに必要事項を記載して探偵事務所や興信所に郵送してクーリングオフを行います。
クーリングオフを電話で済ませようとする人もいますが、電話だと探偵事務所や興信所との会話内容を記録できなかったり、「言った/言わなかった」の争いになり、クーリングオフの適用期間内で手続きが終わらなかったりする危険性があります。
また、クーリングオフの書類を契約した探偵事務所へ直接届けるという方法もありますが、トラブルを避けるなら、
書面を郵送するか、ハガキに必要事項を記入して郵送するほうが良いでしょう。
ただし、業者によっては事前にメールや電話でクーリング・オフを受け付ける、と説明してくれるところもあります。
その場合は、とりあえず業者に問い合わせをしてみるのも良いでしょう。
クーリングオフの書式
クーリングオフの意向を興信所へ伝えるため、書面(ハガキ)に必要事項を記載します。記載する内容については、下記の項目を必ず入れてください。
- 書面のタイトル「通知書」
- 調査契約を解除する旨を記した文言
- 契約年月日
- 調査契約の契約金額(総額または着手金の金額)
- 興信所の事業者名(○○興信所または株式会社○○ △△事業所、事業責任者名または担当者名)
- 調査料金を返信してほしい旨の文言
- 返金先の口座情報
- 発信日
- 依頼者の氏名
この記載する内容については
クーリングオフの書式が国民生活センターや消費者庁のホームページで一般公開されているので、その書式を参考に書面を作成してください。
また、調査料金をクレジットカード払いで支払っていた場合、基本的にはクレジットカード会社にもクーリングオフの通知を送る必要があります。
クレジットカードの発行元によっては、購入元(この場合は探偵事務所や興信所)にのみ通知を送ればよい、としている会社もありますが、そのような会社でも、通知書を送ると取引がきちんと中止されているかどうかを教えてくれることが多いです。
確認のためにも、通知書は送っておくことをおすすめします。
郵送方法
クーリングオフの意向を認めた書類(ハガキ)を探偵事務所や興信所に郵送する場合、書面を発送した日にクーリングオフの効果が生じます。
つまり、届く日が期限である8日目を過ぎていても、発送した日の消印が8日以内に収まっていれば、クーリングオフは有効ということです。
ですが、普通郵便で送ってしまうと、必ずその日に消印がつくとは限りません。
また、相手の業者が「届いていない」などとシラを切る可能性もゼロではありません。
そのため、郵送する場合は、特定記録郵便、または簡易書留などの郵送記録が残る方法を利用してください。
- 特定記録郵便
通常郵便の料金に、手数料を足して利用可能。郵便物を投函した記録と追跡サービスを利用することができます。
- 簡易書留
郵便物を出した郵便局と時間、郵便物が到着した郵便局と届けた時間を記録してくれ、通常郵便の料金に書留代を足して利用することができます。
書類の保管
調査契約をクーリングオフするために作成した書面の写しと、クーリングオフした調査契約書の写しは必ず保管しておいてください。
探偵事務所や興信所と調査契約の解除に関して法廷で争うことになった場合、書面の写しが証拠となります。
この書面は最低でも5年間は保管しておくと良いでしょう。
興信所のクーリングオフについて契約前に確認しましょう
クーリングオフの仕方、クーリングオフが適用される取引と適用外の取引についてご紹介しました。
これから探偵事務所や興信所に調査を依頼される方は、探偵事務所や興信所の取引の形態と契約内容、クーリングオフについての事前説明などがあるかを確認してから、興信所に調査の依頼を行ってください。