内閣府が発表したデータによると、女性の7人に1人が、配偶者から繰り返し暴力を受けた経験があるそうです。
更に、単発的にでも配偶者から暴力を受けたことがある女性の人数を含めると、DV被害を経験した女性の割合は3~4人に1人となります。
これは非常に深刻な数字です。
そんなDV被害を受けた女性のための一時的な保護施設として、 公的なものでは、「婦人保護施設」や「母子生活支援施設」があります。
また、NPO法人などが運営する「民間シェルター」も存在します。
婦人保護施設は、売春防止法に基づいて各都道府県や社会福祉法人が設置している、女性のための保護収容施設です。
かつては売春防止のために女性を収容保護するための施設でしたが、DV防止法(配偶者暴力防止法)が成立してから、DV被害にあっている女性も正式に保護の対象となりました。
DV被害などにあった女性を、心理的にケアしながら、女性の今後の自立のために支援を行います。
入所手続は、各都道府県に設置されている「婦人相談所」を通して行われます。
婦人相談所は、どの都道府県にも必ず1つは設置されており、婦人相談所に婦人保護施設が併設されているケースが多いです。
婦人保護施設では、一時保護所と中長期的な支援を行う婦人保護施設があり、保護期間は一時保護の場合がおよそ2週間、婦人保護施設へ入所する場合はおおむね1ヶ月以上になることが多いようです。
18歳未満の子とその保護者(配偶者のいない女子または配偶者と一緒に住めない事情のある女子)が入所することができ、特別な事情がある場合は、子が20歳になるまで引き続き在所することができます。
2004年の児童福祉法改正以降は、母子生活支援施設を退所した元利用者への支援も行われています。
母子生活支援施設では、母子支援員、少年指導員、保育士等が配置されており、施設内で保育サービスや子供の学習・教育支援も行われています。
また、母親は育児や離婚についての相談、就労や資格取得に向けた支援を受けることもできます。
ただし、母子生活支援施設を利用する場合、家賃は発生しませんが、前年の所得に応じた利用料の支払が必要です。
母子生活支援施設への入所手続きは、各市区町村にある福祉事務所で行われます。
NPO法人や社会福祉法人の他、法人格をもたない団体など、民間の団体が運営する避難シェルターです。
令和元年11月の時点で各都道府県が把握しているだけでも、全国で122の団体が民間シェルターを運営しています。
あくまでも一時保護を目的とした施設ですので、保護の期間は2週間程度としている施設が多いですが、単なる保護だけではなく、利用者の相談に乗りながら利用者の自立を助けるサポートを行っています。
DV加害者が連れ戻しにくる可能性を考慮し、シェルター情報や場所は非公開となっているため、 民間シェルターの利用を希望する場合は、「配偶者暴力支援センター」や「福祉事務所」などに相談しましょう。
都道府県ごとの「配偶者暴力相談支援センター」を知りたい方は、内閣府男女共同参画局が作成した下記のページをご覧ください。
保護施設の利用に関する相談も含め、DV被害についての相談を受け付けている公的な窓口をご紹介します。
内閣府が運営するサービスで、DVの相談について専門の相談員が対応します。電話・メール・チャットでの相談が可能で、電話・メールは24時間、チャットは12:00~22:00の間で受け付けています。また365日、相談対応をしています。
詳しい話を聞いた上で、相談員が必要と判断した場合、面接や同行支援などの直接支援、さらに安全な居場所の提供などに対応してくれます。
DV被害について、そもそもどこに相談したら良いかわからない、という方は、まずはこちらのDV相談ナビ「#8008」に電話してみましょう。
内閣府DV相談ナビは、内閣府が運営しているサービスです。
全国共通の電話番号に電話をかけると、発信地情報をもとに最寄りの相談機関窓口に繋がります。
相談は匿名で行なうこともできます。
各都道府県に設置されている婦人相談所、福祉事務所、児童相談所、男女共同参画センターなどが、配偶者暴力相談支援センターとしても機能しています。
保護施設や利用できる制度の紹介などの他、カウンセリングを受けることもできます。相談内容はもちろん厳守され、相談に来たこともわからないように配慮されています。
命の危険を感じたときには110番、もしくは最寄の警察や交番にかけこむのが一番です。
まずは相談してみたいというときには、直接出向くという手もありますが、警相察談専用ダイヤル「#9110」を利用するという方法もあります。
電話をかけた地域を管轄する警察の相談窓口につながり、そのときに必要な対処や援助をしてくれます。
DV被害に悩んでいる方にとって、誰かに相談すること自体がとても勇気のいることでしょう。
ですが、勇気を出して相談していただくことが、ご自身やお子さんの大切な命と心を救う第一歩となります。
配偶者の暴力から逃れ、健全で幸せな生活を取り戻すために、独りで耐えずに適切な機関に相談してください。