DV対策・調査の依頼があった場合、探偵は被害状況を調査し、DVの証拠集めのサポートを行います。
DVを理由にした離婚の交渉や慰謝料請求の手続きには、DVの証拠が必須です。被害者自身で集められる証拠もありますが、中には難しいものもあります。
今回は、DVの種類と必要な証拠例、それを踏まえて探偵がどのような調査ができるのかについて解説していきたいと思います。
DVには、殴る蹴るの身体的暴力だけでなく、様々な種類の暴力があります。
暴力の種類によって、集める証拠の形も違ってきます。
殴る・蹴るなど、相手の身体に害を与える直接的な暴力がこれに該当します。
また、髪を強く掴んだり、わざと熱いお茶を相手の手元にこぼす、というような行為も身体的暴力です。
身体的暴力は、体に痣ができたり骨折などの目立った怪我を負わされるケースももちろん多いのですが、あえて痕跡が残らない程度に力を加減して暴行をするケースもあります。
暴言を浴びせたり、相手を激しく罵ったり、見下す態度をとるなど、相手を精神的に追い込むような行為がこれに該当します。
また、必要以上に理不尽に相手を無視するなど、直接的ではなくとも相手の尊厳を著しく侵害する行為も、精神的暴力に当たります。
一時的な喧嘩との区別が難しい部分もありますが、夫婦や恋人のどちらかが相手に対してこのような行為をすることが常習化している場合は危険です。
精神的暴力を受け続けていると、被害者本人も相手の言っていることは事実で、自分はダメな人間なんだと思い込むようになってしまいます。
性交渉や中絶の強要、避妊処理の拒否、性的画像の流布など、性に関する暴力がこれに該当します。
夫婦や恋人であればセックスをするのは当たり前で、それを拒否する方が問題がある、という考えの人もいるようです。
確かに、セックスレスは夫婦や恋人関係において重要な問題です。
しかし、相手が嫌がっているのに無理やり性交渉を強要したり、相手が避妊具の着用を望んでいるのにその意思をはねのけて性交渉に及ぶというような行為は、夫婦間や恋人同士であろうとれっきとした性暴力です。
相手の行動や交友関係などを細かく監視する、他者との連絡を禁じる、許可のない外出はさせない、などの過度な束縛は、社会的暴力に当たります。
また、相手の悪口や事実無根な内容の話を周囲の人たちに吹き込んで、相手の立場を弱くするような行為も、社会的暴力と言えます。
社会的暴力は、相手の交友関係を絶ち相手を孤立させ、家庭以外に居場所をなくさせる効果があります。
必要な生活費を家に入れない、相手のお金を取り上げるなどの行為がこれに該当します。
こちらも、相手の行動を制限し、相手を孤立させることにも繋がります。
経済的暴力を振るう人は、必要なお金を渡さないだけでなく、相手がパートなどの仕事をすることも禁じるケースも少なくありません。
また、逆に、働こうと思えば働けるのに自分は一切働かず、かといって家事を担当するわけでもなく、相手に家計の全てを負担させ、その上自由に使えるお金は没収する、というようなケースもあります。
子どもを利用して、夫・妻に精神的なダメージを与えることも、DVと考えられています。子どもに暴力を振るったり、「子どもに危害を与えるぞ」と脅したりして、相手を支配しようとする方法です。
子どもを人質に取られたような状態になり、DV被害者は子どもを守ろうとして、加害者の言いなりになってしまいます。そのため抵抗することも、逃げることもできない状況に追い込まれるのです。
また、子どもに対して被害者の悪口を吹き込んだり、子どもが被害者を嫌いになるよう仕向けたりして、子どもと被害者の仲を裂こうとすることもあります。それにより、被害者が精神的に追い詰められるケースも少なくありません。
探偵にDV対策を依頼した場合は、前述通り、主に被害状況の調査と証拠取得を行っていくことになります。
証拠取得には、依頼者自身で保全が必要なものがあります。
たとえば医師による診断書や暴行によってできた負傷部位の写真、日頃からのメモや日記などがこれに当たるでしょう。
ですが、依頼者自身では行いにくい証拠取得もあります。
暴行場面の音声録音や動画撮影、盗聴・監視アプリのチェック、第三者からの証言取得などが挙げられます。
特に証拠能力が高いのは音声録音や動画記録ですが、この取得を自分一人でやろうとするとリスクがあります。
仕掛けた録音・録画機器が見つかってしまう可能性もあれば、スマホなどで代用しても音質が悪く証拠になりえないという可能性も起こり得ます。
特に前者の場合は、より暴力が悪化する危険もあります。
探偵であれば、専門の機材やノウハウで、決して相手に見つからないよう録音・録画を行うことができます。
どのような調査をしていくかは、依頼者が置かれている状況をヒアリングしながら提案することになります。
被害状況によっては、警察への通報や、弁護士など専門家と連携して一時避難や法的措置についてサポートをすることも可能です。
DV被害者によっては「この程度は軽いものだから」「これは暴力には当たらない」と自己判断してしまうことが少なくありません。
ですが、こうした自己判断は危険です。気付かないうちにエスカレートして、取り返しのつかない事件に発展することもあります。
そうなる前に、内閣府が運営する「DV相談+(プラス)」や「DV相談ナビ」など、DV被害者をサポートする機関に連絡してください。
また、命の危険がある場合は、証拠取得などとは考えず、110番通報するか直接警察に駆け込み相談しましょう。
DVは、証拠をきちんと揃えれば、確実に離婚や慰謝料請求が可能です。
場合によっては、刑罰を与えることもできます。
そしてその「証拠取得」は、探偵の得意とするところです。
DVで悩んでいるけれど、どうしていいかわからない。一人で身動きが取れない……そんなときは、ひとりで抱え込まずに、お気軽に相談してください。