詳細は下記をご覧ください。
離婚するときには夫婦で財産の分与が行なわれます。
財産分与とは、結婚してから夫婦間で築き上げた財産をそれぞれの貢献度に応じて公平に分配する制度
のことです。
また、財産分与の対象は「預貯金(現金)」「土地・建物」「車」「保険」「家具・家電」などがありますが、ローンなどのマイナス資産も分与の対象となるので話し合いが行なわれます。
基本的には2分の1ずつ財産は分配されますが、離婚の要因や、その後の生活などによって分配方法は多少異なります。
住宅ローンを払いながら今の家に住み続けたいという人も多いので、夫婦のどちらかが持ち続ける代わりに、それに相当する相手に金銭の支払いをする、という分配方法もあります。
また、どちらかが専業主夫・主婦だった場合は、離婚後に生活に困ることが予想されますので、今後生活するために不便がないように、また希望をかなえるために分配方法はさまざまな方法が可能です。
財産を全て現金に変えてしまえば、もめることも少ないのですが、こういったお互いの希望によって話がなかなかまとまらないこともあります。
円満な離婚であっても、財産分与の取り決めをした場合には、その内容を記載した文書を作成することが一般的です。
望月行政書士事務所
行政書士 望月義寛では一番わかりやすい現金である、預貯金について少し詳しく見ていきましょう。
結婚してから貯めた預貯金は、夫婦で築いた財産なので、財産分与の対象です。
現金を別の口座に移して財産を隠されることもあるので、通帳の残高を確認して一定期間分の取引履歴を確認しなければいけません。
したがって、銀行口座の残高証明書を発行しただけでは財産分与の具体的な判断をつけられません。
残高証明書を発行する前に、預金を引き出している可能性があるからです。
もし不自然に大きな金額が出金された履歴があるならば、隠し財産として別の口座に移してしまっている可能性があります。
ただ別口座の金融機関名がわからなければ開示請求もできないので、キャッシュカードや通帳などは、見つけたらすぐにコピーや写真を撮っておくようにしましょう。
口座や保険などは結婚前に明らかにしていても、結婚後に増やすこともできるので、せめて離婚直前には注視しておきましょう。
口座に保管している預貯金とは別に、結婚生活を送っている間に、こっそりへそくりを貯めている人もいるかと思います。
離婚する準備のために頑張って貯金をしている、という方もいるかもしれません。
しかし、このへそくりに関しては結婚期間中の預貯金であれば、夫婦ふたりの貢献によって築かれた財産ということで、財産分与の対象となります。
ただ、へそくりと言うのはそもそも相手には秘密にしていることが多いものなので、財産分与についての話し合いの際に存在が明かされないことも多いです。
しかし、財産分与の際にへそくりの存在を隠したままにしていることは、相手の財産権を侵害していることになるため、その存在が明るみになった場合は、 財産分与の請求期間である2年を過ぎた後でも、財産権侵害の損害賠償として請求できる可能性があります。
へそくりを隠し通すよりは、正直に申告してしまった方がモラル的にも良いことです。
ただし、相手も正直に自分の預貯金をすべて申告してくる、とは限りません。
へそくりを隠していたり、隠し財産がある可能性があるでしょう。
預金通帳以外にも、所得証明や生命保険に関する書類、株や有価証券など、財産分与をスムーズに行なうためには集めるべき証拠がたくさんあります。
財産分与は離婚後2年間は請求できるので、もし隠し財産があるように思えるのであれば開示請求をすることで、相手の財産を調査することができます。 複雑な申請が必要ですので弁護士を通すのがスムーズでしょう。
参考:財産開示手続 | 裁判所
離婚する際には財産分与で損をしないように、離婚前から隠し財産の証拠集めをしておくことをオススメします。
貯金から、お金を夫婦間で立て替えたことがある、ということもあるかもしれません。 離婚する際にはこうしたお金を返してもらいたいと思いますよね。
しかし、夫婦の扶助義務として同じ生活が出来るように、と言う目的で必要な費用だったのであれば、貸した側は返済を迫ることができません。
など。
生活する上で必要なお金を夫婦間で貸し借りした場合は、借金として扱われません。
ただし、以下のような目的での貸し借りがあったのであれば、財産分与とは別に返済請求をしましょう。
など。
婚姻前に貯めていた預貯金については特有財産とみなされるので、財産分与の対象にはならず、すべて本人のものになります。
預貯金以外のものでも、独身時代に自力で購入した車や、家具家電といったものをまだ使っているのなら、それは本人のものです。
ただし、結婚を前提に同居を始めた時期があれば、その同居期間からの預貯金は財産分与の対象になる共有財産です。
また、入籍してからしばらく別居をしていたとしても、同居した日付からの預貯金が共有財産です。
独身時代から積立預金を行っていて、結婚後も続けている、という場合は、同居もしくは入籍してからの期間の積み立てを相手に申告すべき、ということですね。
結婚生活が長くなると、どれが結婚してからの財産であるか把握できなくなる恐れがあるので、結婚前の預貯金と結婚後の預貯金は別口座に分けておくほうがよいでしょう。
先述したとおり、結婚前の預貯金は本人の財産ですが、家のローンの頭金に使ってしまった、という場合も多いでしょう。
また、結婚相手が散財してしまうため、結婚生活を無事に送るため貯金を切り崩して何とかしていた、という場合もあるかもしれません。
離婚するときの財産分与の割合は2分の1ずつ分配されるとはいえ、これでは不公平感を感じてしまうのではないでしょうか?
家や土地という夫婦の共有財産を築きあげたなかで、その寄与度や貢献度に違いがあるときは、当然、結果的に返してもらえるように、財産分与の割合に反映させておいても問題はありません。
ただし、これとは別に、結婚前の預貯金をこれら以外の目的で結婚相手に勝手に使いこまれてしまっていた、という場合もあるでしょう。
その事実や目的を証明しなくてはいけませんが、証明できた場合は、使い込んだ分のお金を財産分与の割合に入れて考えるべきです。
しかし、このような問題は当事者だけの話し合いだけでは、しっかり財産分与できるケースは少ないかもしれません。
もめたときは弁護士などに相談してみましょう。
子供がアルバイトをして貯めたお金であれば、それは子供のお金なので財産分与の対象にはなりません。
祖母や祖父、親戚から子供あてに届いたお年玉や祝い金等を、両親が子供名義の通帳を作って振り込んでいた場合は、特有財産として扱われ、ほとんどが財産分与の対象にはなりません。
子供が大きくなったときに困らないように、といった目的で、離婚する当事者たちが自らの収入から子供の口座に入金していた場合は、財産分与の対象になります。
このように形式的には財産分与の対象ですが、子供の将来のためにそのまま口座に残しておくこともあるので、これは両親の話し合い次第となります。
財産分与の対象となる子供名義の預貯金を、実際に財産分与として夫婦で分けたい場合は、2通りの方法があります。
1つは、子供名義の預貯金口座まるごとを解約してしまい、引き出した現金を折半するという方法。
もう1つは、子供の将来のために口座自体は残しつつ、その口座を管理する側がもう一方に半分の額を渡すという方法です。
子供名義の預貯金は、どういった目的で貯めたお金か明確でないと、離婚の際にもめる元となりかねません。
出来れば通帳をまめに記帳し、目的や貰った相手をメモしておくとよいでしょう。
<おススメの文献>
「2分の1ルールだけでは解決できない 財産分与額算定・処理事例集」森 公任、森元 みのり