離婚を決意する、と簡単に書きましたが、この項目は、できるだけきちんと時間をかけるべきものと言えます。
離婚をするときは一時の感情だけで決めるのではなく、ほんとうに離婚して良いかもう一度よく考えてください。
「子供と会えなくなる」「一人で孤独に感じる」「経済的に苦しくなった」「世間の目が気になる」「老後が不安になった」などやっぱり離婚をしなければ良かったと後悔する人も多いようです。
離婚することの自分のメリット・デメリットを良く整理して、後悔がない決断をしてください。
望月行政書士事務所
行政書士 望月義寛離婚を決意ができたら、次のステップは相手に離婚を切り出すことです。
さて、ここが重要なポイントです!
離婚をスムーズに進め、そして離婚で「損をしない」ためには、話を切り出すタイミングが重要なのです。
たとえば、相手が不倫をして、その証拠を手に入れていれば「慰謝料の増額」が強く見込めます。
しかし、その証拠を手に入れる前のタイミングで相手に離婚の話をしてしまうと、浮気の証拠を隠滅されてしまうことは想像に難くありません。
財産分与についても同様に、共有財産がある程度把握できている状態になってから話を切り出すべきだと言えます。そうしないと、本来分与するべき財産を隠されてしまう可能性があるためです。
また、相手に落ち度がないにも関わらず一方的に離婚を望んでいる場合は、離婚まで数年かかることもあるので、相手を納得させる材料をそろえてから離婚を切り出すようにしましょう。
ここまでで例に挙げたのは、「自分の準備が出来たタイミングで話を切り出す」という視点のものでした。
他には、「ライフイベントのタイミングをはかる」ということも考えられます。
たとえば、退職金も財産分与の対象となります。既に支払われて手元にある場合はもちろん、まだ支払われていない場合でも、退職金が確実に支払われる見込みのときは同様です。
ただし、遠い将来に受け取る予定の退職金だと、状況が変わり受け取れないことも考えられるので、その限りではありません。
そのため、配偶者、及び自分が退職するかどうかなども含めて、タイミングをはかる方が良いでしょう。
子供がいる場合には、さらにどのタイミングで離婚を切り出すかが重要になります。
入学、卒業、受験期など、子供には心身に大きなストレスがかかる転換期が何度もあります。
それらの時期は避けるべきか、逆にその時期なら環境が変わるから、姓、住所など変更の影響が少ないと考えるか、など、それぞれの家庭によって、選ぶべき選択肢は異なるでしょう。
離婚届けを提出する前に「親権」「財産分与」「慰謝料」「養育費」などの事項について夫婦間で協議を行い、決定した事柄を記録します。
この記録は、「離婚協議書」と呼ばれます。
離婚において、養育費の取り決めは、子供の健やかな成長のためにも極めて重要ですので、下記の点に注意しましょう。
年収別の養育費については、下記のページを参考にして下さい。
また、厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、養育費の取り決めをしていても、約45%のケースで支払いが行われない、または支払いが途中でストップしてしまっているようです。
離婚において、どちらかが一方的に苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できます。
一般的な性格の不一致や、価値観の違いなどが理由の離婚には、慰謝料は発生しませんので注意しましょう。
不貞行為の場合の目安としては50万円~300万円程度が相場と言われています。
しかし、婚姻費用や養育費と異なり、慰謝料には算定表などのガイドラインはありません。
不貞の場合でも、夫婦それぞれのケースにおいて、ふさわしい慰謝料を決定する必要があります。
ご自分のケースが、慰謝料を請求できるものかどうかがわからない場合はお近くの法律の専門家へ問い合わせてみることをお勧めします。
お子さんがいらっしゃる場合、離婚の際に必ず親権者を決定することになります。
子供を実際に見守り、教育する権利と、子供の財産を代理で管理する権利をまとめて親権と呼びます。
この二つの権利は、同時に子供に対する親権者の義務でもあります。
親権者を定めない限り、離婚はできませんので注意しましょう。
取り決めるときは、子供にとって有益かどうかが重要な指針となります。
経済の面のほかに、健康面や教育環境、もちろん愛情の有無も踏まえてよく話し合いをします。
ある程度、自分の意思をもつ年齢であれば、子供の意思に沿った決定をしましょう。
また、親権を持たない側には、面会交流権という子供と会う権利がありますので、二度と会えないというわけではありません。
具体的な面会交流の決め方は、以下を参考にしてみてください。
親権や面会交流については、夫婦の希望、意見がぶつかることが多く、話し合いではまとまらないこともよくあります。
もしふたりだけの話し合いで落とし所が見つからない場合は、家庭裁判所で調停を申し立てると良いでしょう。
離婚前であっても利用が可能です。
上記のような調停や、裁判にもつれ込んだ場合、「子供の養育にこれまでどれだけ関わっているか」が親権取得に大きく関わります。
もし別居をする場合、その期間中に子供と一緒に暮らすことができれば、親権の取得争いに有利に働くことがあります。
ただし、配偶者の合意を得ずに子供を連れ出すと、違法な連れ去りと見なされることもあるため注意が必要です。
また、夫婦どちらかの暴力などが原因の離婚の場合、親権のみならず、面会交流権も認められないことがあります。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、分け合うすることです。
夫婦であったときに手に入れた、預貯金・動産・不動産などをすべて、基本的には公平に分配します。 財産分与をする際の注意点としては、下記の二点があります。
財産の中でも、とくに建物などの不動産は、離婚後も住み続ける場合があります。
そういった明確に分けられないような財産についての分割方法なども、書面に書き残しておきましょう。
失念しがちなのはローンなどのマイナス資産についてです。
こちらも、分割する対象になります。
財産分与は、細かく膨大な量が対象になりますので、特に根気強く話し合いが必要な項目です。
配偶者に隠して財産を作っていた場合も、結婚してからのものは財産分与の対象になります。
独身時代に貯蓄したものであれば問題はないですが、そうではないものは、トラブルを未然に防ぐためには開示したほうが良いでしょう。
また相手が財産を隠していたことが分かった場合は、家庭裁判所に申し立てができます。
離婚の問題・相談をするのに特に頼りになるのが弁護士です。
法律の専門家ですので、離婚に関わる法律問題は安心してアドバイスを求めることができます。
探すときには大まかに次の二つの方法があるでしょう。
一番簡単で手軽な方法は、通いやすい場所+離婚+弁護士のキーワードで、インターネット検索をしてみることです。
弁護士にはそれぞれ得意な分野、不得意な分野がありますが、この方法であれば、特に離婚問題に力を入れている弁護士を探すことが可能です。
見つかったページから、立地、実績などを比較し、依頼する弁護士の候補を決めると良いでしょう。
また、お住まいの地域の弁護士会ホームページで検索する方法もあります。
弁護士会の検索エンジンでは、あらかじめその弁護士自身が得意な分野の検索ができる「重点取扱分野で検索」という機能が利用できます。
その機能を上手に使うことで、専門外の弁護士を最初から避け、離婚問題に強い弁護士を探し出すことができます。
ただし、この検索エンジンは弁護士が任意で登録するもののため、登録していない弁護士もいます。
また、重点取扱分野についても複数登録ができるため、「離婚問題に一番力を入れているか」はわかりにくい傾向にあります。
下記のリンクは直接、近隣の弁護士の検索ができる日本弁護士連合会の検索エンジンです。 注意事項をよく確認してご利用ください。
離婚調停というのは、前述しましたが当事者だけでは話し合いが難しい場合に、第三者を間に入れて話し合いをすることです。
離婚調停は、あくまで当事者の話し合いがベースで、どちらが悪いかという話し合いではなく、離婚についてお互いの言い分や条件の丁度良い妥協点を話し合う場なのです。
従って、弁護士を立てない方も多くいらっしゃいます。
また、家庭裁判所内では、夫婦それぞれの待合室に隔離され、鉢合わせになることは避けられるので安心です。
行きや帰りなども、時間をずらすことなどの配慮をお願いすることも可能でしょう。
1回の調停で成立することは珍しく、調停自体は3~5回で成立するケースが多いようです。
調停1回ごとの間の期間は約1ヶ月~1ヶ月半ほど空くので、調停期間は早くても約3ヶ月、だいたい6ヶ月~1年程度かかります。
調停での話し合いでもお互いに納得や合意ができない場合には、離婚裁判へと進みます。
離婚において、ほとんどの夫婦は話し合いによる協議離婚です。
離婚調停をして離婚に至る夫婦は約10%、離婚裁判をおこなって離婚する夫婦は約1.6%です。
つまり、離婚裁判まで行くことは珍しいケースということです。
離婚裁判は、訴えを提起すること自体は自分でも出来ますが、様々な手続きが複雑なので、ほとんどの方が弁護士に依頼することになります。
離婚裁判の流れは下記の通りです。
すべての項目において約1ヶ月ごとに開催日が都度設定されるので、離婚裁判期間の相場は約1年~2年ほどです。
4の弁論準備手続は、争点(主張と証拠)が整理されるまで繰り返されますので、多くなればなるほど長期化します。
弁護士とよく相談し、準備をとり行わなければいけません。
期間中に和解や認諾、取り下げもされなかった場合に、家庭裁判所が判断して判決を行い終了します。
その判決に不服がある場合には、控訴やさらに上告することもできます。
ただし、ふたたび弁護士費用も必要になり、時間も膨大にかかるので極めて稀なケースです。